教育新聞で紹介されていた『教師が育つ条件』を読んでみました。教師教育そのものよりも、自身の成長に役立てたいと思います。
教師が働く現状
以前読んだ、『使い捨てられる教師たち』と類似している部分があり、1970年頃からの制度面での変化が言及されていました。教員の年齢層の変化、事務作業の多忙化、常勤・非常勤問題、研修制度などが書かれていました。
これを見ると、ざっくりまとめるとゆとりのあった70年代から、学校が荒れた80年代、表面的な非行ではなく引きこもりや不登校が増えた90年代とより複雑化された現代を行った流れで子どもは変わっていっているようです。
特に、「教師教育」に重点をおいた内容であったため、教員免許更新講習についての言及が多くありました。この本が執筆されたのは2012年で、昨年廃止?されたので10年ほどの期間実施された講習です。当時から懐疑的な声があったことを知りました。
教師の「質」
そのような中で教員に必要な資質や能力も変化はしています。この本では、その向上のための、制度面だけでなく、現場研修などにも言及されていました。
一般的に教員の質に関して改善が求められる場合は、教員研修や教員養成などの制度面二焦点が当てられることが多いです。これには確かにと思いました。つまり、教員が現代的な問題に対応できていない→10年ごとの研修を必須にして最新の情報を学んでもらおうといった感じです。私自身も納得してしまいます。
教師の能力や質については六層にまとめられていました。表面的で個別的な問題である、勤務校での問題解決から、普遍的である教師自身の自己成長へ向けた探究心です。教職自己成長は専門性を高める意味でも良い言葉だと感じました。また、教師の職種は対人関係専門職ということもあり、それもそのとおりだと思いました。子ども、保護者、同僚、上司(管理職)様々な人のなかでコミュニケーションを取ることが求められます。
教師が育つ
ただ、実際の学校現場では、研修で扱ったことのみで全てに対応できるわけではないという視点で、様々な教師教育の手法が紹介されていました。
一つは校内での学年団や分掌での協力です。特に大規模校では日々顔を合わせる教員間での指導や情報共有が専門性の向上に一役買っているようです。さらに、日本で発展しているものが、有志による研究会です。そこで専門性のある教員と関わることによって、組織の一員としての「教員」としてだけではなく、教え導くものとしての「教師」としての力量が向上している例も紹介されていました。