ALT授業もある関係でCLILについてもう一度まとめてみました。
CLILとは
CLILとは第二言語の指導方法の1つです。CLIL=Content and Language Integrated Learning の略で、英語で教科学習を行うという考え方です。海上保安大学校の二五先生は、著書や発表、論文等で、よく「内容と外国語の二刀流」という表現で指導方法を端的に示しています。
特に、日本のように学校の教室以外では外国語に触れる機会が少ない環境下では、自然な環境下でいかに外国語に触れる時間を増やすかが重要な課題になります。外国語で必要となる教科内容を教えることができれば(もちろん、教科内容の定着や目標の達成が絶対条件になりますが)、外国語の可能性が大きく広がると考えられます。
CLILの4つのC
CLILの活動としては、4つのCが重要だといわれています。
- Content…教科内容があるか
- Communication…習得を目指す外国語を授業で使用する言語があるか
- Cognition…学びや認知のプロセスが明確か
- Culture…異文化理解につながるか
ただ、他の教科の内容を外国語でやりました!というだけでなく、その実践を通して、学習者にとってどんなメリットや学びが有るのか考える必要があるといえます。
実際のところ、日本の学校教育の文脈で考えると、他教科の内容とCLILで行おうとする段階で、Contentは必ず存在します。Communitionは外国語で授業をやろうとする段階で必ず考える内容でしょう。Cognitionは最近流行りの思考ツールなどを活用すことも考えられますし、教科内容でCognitionでよいのであれば、新指導要領になり「思考力・判断力・表現力」として育成を求められている部分でもあります。
そうなると、個人的にあいまいな部分は以下の2つになります。
1. Cognitionにあたる部分は、外国語学習に関する認知プロセスか、広く学習全般でよいのか。
2. Cultureでの異文化理解で求められる「異文化理解」のレベルはどの程度か。
1について、広く学習全般でよいのであれば、こちらも「CLILをやるぞ」と思った際に特別に配慮が必要な項目ではなくなるため、実践のハードルが大きく下がることになります。対して、外国語学習に関する認知プロセスだとすると、インプット仮説やらなんやらの理論的な枠組みをもとに、別で考える必要が生じ、負担が大きく、実践としても困難になっていくでしょう。
2について、Cultureでの異文化理解と行っても、外国の人が異文化の対象になることもあれば、隣の席に座っている「あの人」と自分との違いを感じることもあります。どうしても前者のイメージが異文化理解というと強いように感じられますが、後者の身近な異文化もCultureの領域として可能なのであれば、図工や音楽で創造的な活動をすることができればそれがCultureに繋がります。
実践事例
CLILの授業実践の事例も少しずつではありますが増えてきています。CLILに関することを研究する学会も存在するほどです。英語にも興味のある小学校教員としては関心の高いトピックになります。
https://www.eiken.or.jp/center_for_research/pdf/bulletin/vol25/vol_25_p94-p126.pdf