仕事術⑧~『教師のNG思考』より~

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勤労感謝の日に時間があったので、土居正博先生の教師のNG思考という本を読みました。自分はどうだろうかと考えながら振り返ることができる1冊でした。自分と年齢が10歳も違わない人が、これほどの本を書けると感じ尊敬しました。

どんな本か

学校の教員をする上で、これをしないといけないという「絶対の正解」はあまりありません。ただし、土井先生は、仕事をしていくうちに、これはいけない・自分の成長を妨げてしまうという「不正解」が存在するというように感じられたとしています。そのような、自身の成長を妨げてしまう「思考のクセ」についてまとめられた本です。

耳が痛い内容も多いですが、謙虚に受け止めて自身の働き方を考え直してみたいです。

以下にそれぞれの考え方のクセをまとめていきますが、土居先生の言葉でより詳しく読んでみると深い学びにつながると思います。ぜひ本を手にとって読んでみてください。

考え方のクセ

本の中には、6つの章に分けて「不正解」の考え方のクセをまとめていました。どれもありがちで、自分自身も気をつけようと思う内容でした。それぞれの思考は下になります。

他責思考
手段の目的化思考

「横並び・安定・事なかれ」思考
極論思考
無自己分析思考
学校内価値過大視思考

他責思考

他責思考は、自分ではない他者に責任の根源を押し付けてしまう思考です。極論すると、先生の仕事は、テストができないのは子供の問題、保護者との連携が取りにくいのは保護者の問題、授業準備が十分にできないのは仕事量の多い学校運営上の問題と切り離して考えることができます。また、このことが責任問題になってしまう場面もそう多くはありません。

ただ、他責思考に陥ってしまうと自分の責任範囲をどこまでも狭めてしまうことが可能になるため、自分の成長する余地が少なくなってしまいます。全てを自分の責任と考えることは精神衛生上も難しいですが、自分がなんとかできないかという姿勢は持っていたいものです。

手段の目的化思考

手段の目的化思考は、もとは手段であったものが目的になってしまう考え方です。これも現場で働いていたら「あるある」で、英単語を覚えることが目的だったのに、単語を10回書くことを子どもに課すことがあります。そして教員は「書いて」いるかを見るだけになってしまうことで、子どもも「書く」ことが目的になり覚えることができず、「手の筋トレ」で終わってしまう結果になります。もちろん一定の基準として量を課すことが必要なこともあります。ただ、本来の目的に振り返って手段を選んでいけるようにしたいものです。

「横並び・安定・事なかれ」思考

「横並び・安定・事なかれ」思考 は、学年や学校で活動や学習を揃えすぎてしまう思考です。これも「いい塩梅」が必要なのですが、行き過ぎてしまうと活動が制限されたり、教員や子どもの個性を活かしにくくなります。学年などで揃えてしまうと「楽」なこともありますが、行き過ぎてしまわないようにしたいものです。

極論思考

極論思考は、AかBかで二者択一になってしまう思考です。これも「あるある」で、教員のこだわりなどから、ある一つのものが「望ましい」と考えてしまうことがあります。特にそれが自分が時間をかけて研究したり実践してきたものであればなおさらです。自身の経験は経験として、目の前の子どもに合う方法は何かを見ようとすると、「唯一の正解」には縛られにくくなるように感じました。

ちなみに、英語教育研究の分野では、「内容学か方法学か」、「質的研究か量的研究か」などが極論的な話題になります。

無自己分析思考

無自己分析思考は、紹介された指導方法などを自分で考えることなく無批判に取り入れてしまう思考です。私を含め、若い先生にありがちです。深く考えず、本に載っていたり、先輩に言われたりしたことを鵜呑みにしてそのまま実践してしまうことで起こります。得てしてこのように鵜呑みにした実践は、自分の中で落とし込めていないためうまくいきません。ルールとして決まっていることでも、自分の言葉で子どもや保護者に説明できるよう落とし込んでいきたいものです。

学校内価値過大視思考

学校内価値過大視思考は、学校で考えられる尺度を過大視してしまう考え方です。学校の先生が求める「善い行い」の中に子どもをはめ込みすぎてないでしょうか。様々な個性がある中で、教師のやり方に過度に染めすぎていないか、押し込めていないか、時おり振り返るようにしたいです。

まとめ

学校の先生がついつい陥りがちな「自身の成長を妨げる」思考のクセについてまとめた本でした。読んでいて身が引き締まる思いがしました。「自分のせいじゃない」、「みんなやっている」、「この方法が正しい」といった考え方に流れされてしまうと自分にとって「楽」になることがあります。常に意識することが難しくても、時に自分が偏った見方になっていないか考え直していきたいです。

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