読後感~『問い続ける教師 教育の哲学×教師の哲学』(多賀一郎・苫野一徳)~

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ぶれない教育、「よい」教育とは何かと考えるきっかけを与えてくれる一冊でした。日々の業務に追われていると、目の前のことでいっぱいいっぱいになりがちです。ときにはこのような本も読んで、教育の本質を考えたいです。

よい教育とは:「自由の相互承認」ための教育・きまりはなんのため?

「よい教育」ということばを使うことがあります。ただ、その本質を深く考える機会はあまりありません。学力がついたとか、〇〇ができるようになったとか、子どもが生き生きと学んでいるなどと言えそうですが、教育哲学の歴史の中で考えていくと、「自由の相互承認」のための教育がよい教育と言えるそうです。生きる上で自分の自由を追求する、その自由が周りの人にも与えられていることを認める、その中でお互いを尊重して社会生活を営んでいく。そのような意味だと解釈しました。
そうして考えていくと、学校の校則やきまりは誰がなんのためにつくるのか、といったところにも目がいきます。理想は子どもが安心して、気持ちよく過ごすためのもので、教師の押しつけではないものです。サッカーでは手を使えないことが特徴のように、スポーツでも「ルール」があることで深みや面白さがましていきます。子どもと相談しながら、みんなが納得できるルールを紡いでいくことが理想です。

聞く力:自分も聞く・ストーリーで聞かせる・子ども同士の話を聞かせる

子どもはいろいろなことを話しかけてきます。特に小学校低学年の児童は、先生に話を聞いてほしくてよってきます。その話を教師として真剣に耳を傾けているでしょうか。自分の話を聞いてほしければ相手の話も真剣に聞くべきでしょう。ついつい忙しさから他の作業をしながら聞いてしまうときもありますが、気をつけようと思いました。
話すときには、ストーリー仕立てで話すとすっと頭に入ってくることがあるようです。ストーリーにつすると、はじめから聞かないと話についていけなくなり、自然と聞ける状態になるようです。教師の失敗なども絡めながら、ストーリーで伝えることを意識しようと感じました。
子ども同士も互いに聞きあえるようになってほしいです。そのために、「教師のオウム返し」はやめていきましょう。教室がざわついていたり、児童の発言が小さかったりすると、「〇〇さんは、何々といっていました」などと、教師が要約する場面が見られます。これは子どもの聞く力を育てているのか、考え直そうと思います。

考える力

大人になる、何かを学ぶうえで、「考える力」は重要です。前述した自由を追求するためにも、自由とはなにかを考えることが必要でしょう。子どもが興味を持てる「探究型カリキュラム」する、「分からない」と「考えていない」を区別させる、などの指導ができます。
「探究型カリキュラム」は総合で取り入れられていますが、本来の趣旨にあった活動にできているでしょうか。学びを貫くものとしての「総合的な学習の時間」になれば、子どもにとってより知的に楽しい活動になると感じました。これは一個人の力では難しいところですが…。
「分からない」と「考えていない」は、子どもが学習を「分からない」といって諦めがちなときに伝えたい言葉です。「分からない」ということで考えることを放棄していないか、見てみましょう。

参考図書: 多賀一郎・苫野一徳 『問い続ける教師 教育の哲学×教師の哲学』(2017)学事出版

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